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【オリンピック】

 オリンピックの歴史は、古代ギリシアの祭典にまで遡る。現在の形式のオリンピックは第一回より数えて200余年。夏冬を換算すれば二年ごとに行われているそれは、鍛えあげた技と体とを全力でぶつけ合う、まさにスポーツの祭典。誰もが、金色のメダルをその首にかけることを夢見るのだ。

 ヒト属の関心はオリンピック一色だ。職場で、学校で、家庭で……あちこちでこの話題が口に出るだろう。自分も過去同じ競技をやっていたと思い出し、一層心を熱くさせる諸兄もいるだろう。現役でスポーツに親しむ世代もいるだろう。約2週間の、懐古そして将来への期待の時期である。

 静かに菌糸を伸ばし、細々と胞子を撒き散らすのが常のふみぞうであるが、中にはダイナミックに繁茂する亜種が存在する。槍状に固められた胞子が、力強い菌糸の躍動によって放たれる。菌どもの関心もまた一色に染まる! 見よ! 繁茂距離の記録更新! 栄光の菌メダルが授与されるのだ!

 しかし栄光の代償はあまりに大きい! ダイナミックな繁茂は、ヒト属の目にもたやすく留まってしまう。「こんなところにふみぞうが!」噴霧されるカビキラー、砕け散る菌糸! なんということだ! アスリートに与えられるものは栄誉だが、ふみぞうに与えられるものは滅菌なのである!
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【盆踊り】

 盆踊り。八月を半ばほど過ぎた頃、祖先の霊を連れ帰ったヒト属が、その霊を楽しませるために執り行う、神聖な儀式の名である。今でこそ娯楽の色を濃くしているが、過去には過酷な生活の中、祖先とともに今を生きる皆も楽しみ、団結を深めるための重要なコミュニケーションであった。

 生きている者が楽しむという要素があるとはいえ、その本質は祖先崇拝である。先人の御霊を慰め、楽しませるための祭祀なのだ。催しの形は変わるとしても、本質まで歪めることはあってはならない。変わっていくべきものと、変わってはいけないものがある、そういうことなのである。

 この時期ばかりは不遜なふみぞうどもも、先人に想いを馳せる。見よ! ふみぞうどもが菌糸で作った輪に、半透明のふみぞうが降り立つ! 実体のない胞子を撒き、透き通った菌糸が空間に広がり、あえなくカビキラーの噴霧によって崩れ去っていく! あまりに無惨な滅菌の記憶である!

 それを見たふみぞうどもが舞い始める。菌糸がくねる様はあまりに面妖だが、盆踊りには違いなかった。すると、一部のふみぞうどもが苦しみ始め、滅んでいくではないか! 死後の世界とつながったこの場では、弱いふみぞうは淘汰され滅ぶしかない。祖先と共に彼岸へ旅立つ定めなのだ!

【山の日】

 山の日である。山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝することを目的として定められた祝日。方々で新たに定められた祝日にかこつけてイベントが開催されている。山の恩恵とは、精神的な物、物理的な物、様々にある。山に分け入り、山歩きを楽しむだけでもいい。各々の親しみ方がある。

 かねてより山はヒト属にとって畏敬の対象であった。生活を寄せ付けないその環境から、異界のようであるともされ、また、山岳信仰というものまで生まれている。今でこそ解明が進み、娯楽の場ともなっているが、油断すればたやすくヒト属の命を飲み込む魔物にも変わる。自然の驚異である。

 ふみぞうどもにとって山は親しみ深い場所である。今でこそ台所の食パンに生えているふみぞうも、かつて山の中で朽木に繁茂し、土に還していた過去がある。誇り高き分解者の一族に名を連ねていたという誇りが、卑小な存在に成り下がった今でもふみぞうの菌糸の根元には息づいているのだ。

 その誇りも今や炭水化物に繁茂するしかできない存在に堕した今となっては、身の丈に合わぬ飾り物に過ぎない! 食パンを冒しては三角コーナーに廃棄されるふみぞうに、かつての面影を見ることはできない。震えながら許しを乞い、胞子を撒き散し、そして滅ぶ! なんたる無様であろうか!

【道具】

 ヒト属は道具を使う動物である、と言われるように、ヒト属にとって、道具というのは重要なものなのである。生身の肉体だけであれば、ヒト属とはひどく脆弱な種であり、ヒト属が地球上を席巻している理由に、道具、それもひどく高等なそれを使いこなしていることを外すことはできない。

 生身ではとてもできない事、例えば遠くの同属と話をしたり、脚ではとても移動できない距離を移動したり、そういうことを可能にするのが道具である。種と言うものを、その使いこなす道具までを含めるなら、ヒト属に敵う種など存在しえないであろう。足りない
ものは道具で補えばよいのだ。

 ふみぞうどもに道具を使う能力はない。魔王ファンガスを滅ぼすため、23株の勇敢な菌類が対魔王最終兵器としてカビキラーを用いたという記録もあるが、それは一部の高等な菌類のみの話であり、一般的な菌どもは己の領域を広げるため胞子を撒き散らし、菌糸を伸ばすしかないのだ。

 菌どもにとって道具とは自身の身を危険に晒すものでしかない! 懐中電灯に照らされ、カビキラーの噴霧によりあえなく滅菌(し)ぬ。なんということだ! ヒト属の作りし道具の数々が菌どもを滅ぼすではないか。道具とはその種にはプラスであるが、他種にとっては驚異でしかないのだ!

【ファンタジー】

 ファンタジー。創作の中ではごくありふれたジャンルの一つである。異世界の物語というのは、いつになっても心を躍らせるものである。様々な要素が組み合わさっているものの、かつてには剣と魔法の世界を主に取り上げていた。幼少の頃、こうした物語に触れて育った諸兄も多いことだろう。

 この世界は絵本という形でもよく使われている。さらに幼い頃、不思議な世界の物語を聞き、少し成長して読み、そして新たな世界の扉を開く。そこには成長するにつれて忘れてしまった、空想の世界が広がっているのだ。こうした世界に久しぶりに触れ、望郷の念にかられることもあるだろう。

 このような世界のふみぞうと言えば、森の中に輪になって生息していたり、不思議な秘薬の材料になったりしている。ファンタジー世界のふみぞうは、その神秘性を醸し出す一助として用いられている! 暗闇の中にぼうと輝くふみぞうを発見し、幼心に感動を覚えた諸兄も多いことだろう!

 しかし現実は非常である! 魔術的なふみぞうなぞ存在するよしもない。卑小にも食パンに生え、そして滅ぼされる。現実とはかくも過酷なものか! 現実世界のふみぞうは、決して神秘的でもなんでもないのである。当たり前に台所の隅っこで震え、見つけ次第滅ぼされる。菌的である!
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Author:ふみ
本州の端っこに震えながら生息する菌類・ふみのブログです。
趣味についてのあれこれを、徒然なるままに語っていきますので、緑茶でも飲みながらまったりとご覧ください。

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